発売当初からお世話になっている（株）日本能率協会マネジメントセンターのPAGEMファミリーマンスリー手帳。

こちら、現在発売中の2022年版でなんと10年を迎えることができました!!

おかげさまで累計330万冊突破したシリーズになりました。

もちろん私の力だけではありませんが、カバーを担当させていただいた手帳が人気シリーズになり10年も続くことになるとは想像すらしていなかったので感無量です。

まだ独立したばかりで右も左もわからない時からカバーデザインを担当させてもらってましたが、気がつけば10年。ここまで一緒にものを作り続けてこられたことが本当に嬉しくて言葉になりません。

今、誰でもイラストレーターやデザイナーになれる時代。私もデザイナー＆イラストレーターと名乗っていましたが、何の後ろ盾も冠もなくやっていると、やってきたことを見てもらうしか私を信頼してもらう術がなく。石の上にも3年ならぬ、石の上に10年座り続け、やっと人にもちゃんとやってますよとこれからは言える、そんな気がしています（遅）。

当初、ファミリー向けという手帳は世に出ていなくて（これが一つの革命！）、エンボスの仕様のものもこれが初めていう新しい試みの中で始まったのですが、数年も経つと同じような仕様の競合が増え、本当に毎回嫌な汗をかきながら作ってました。

商品は良くも悪くも数字が出る世界。ものの良さと数字が必ずしもイコールになることばかりじゃないことは知っていますが、結果を出さないと1年で終わってしまうものも多くあります。

デザインを作る時はそんなプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、でも1年を通してこんなに人の身近においてもらえる光栄な商品はなかなかないと、同時に嬉しい気持ちも持ちながら制作していました。

この手帳は能率さんの手帳の良さもあって長年ずっと愛用してくださるファンが多く、その方々に喜んで使ってもらえるように、、と、毎回デザインのテーマにもこだわりがありました。

平和の象徴のハトが飛んでいるシリーズでは「素敵な一年なりますように」「宝物が見つかるといいね」「たまには息抜きも大事な仕事」など、いろいろなメッセージをテーマに織り込みつつ、願いを込めつつ作ってました。後から気付くとそれはそのまま自分へのメッセージでもありましたが（笑）

デザインでいつも気をつけていたことは、一見主張がありそうですがそれほど主張しないということです。（イラストレーターとしては自分を出しすぎないエゴとの戦いでもあります）。1年使ってもらうものなのでなるべく飽きられず、描き込んであるのにたまに柄があるのを忘れちゃうくらいな、そんな風に馴染むというか、人に寄り添うようなものであったらいいなと思っています。

エンボスという技法により、柄を派手にしてもそこまで目立たないというのも良いところです。足し算のような引き算、「魅せると使う」のバランスは本当に難しいです。

気持ちよく使ってもらえるような商品を作るならば、その制作者こそギスギスしてはいけない、心豊かに過ごすことを一番大事にしていました。

忙しさに追われ余裕がない、趣味に使う時間もない、そんな生活の見直しをはじめ、自分のストレス解消法の確保、生活や1年の移ろいを楽しむことなど。手帳と携わることによって私の生きる（＝生活）に対する在り方がだいぶ変化したように思います。まさに人生と共に歩んできた感じです。

ずっとPAGEMのみなさんが私をチームの一員のように扱ってくれるのが毎回本当に嬉しく思っています。私もデザインだけでなく、素材やカラーやテーマなど提案しながら、自分なりにマーケットを勉強したり、購入してくれる方々がどんな暮らしや考えを持って過ごしているかなどいろいろ想像しながらデザインに反映することで何とかお返しができないかずっと考えてきました。

答えがない仕事なので、やっぱりずっと考えながら今ベストと思うことをやり続けるしかないかなと思うのですが、この手帳と関わらせていただいて本当に多くのことを学ばせてもらって、成長させてもらってたんだなと感謝しかありません。

という訳で、PAGEMファミリーマンスリー手帳をお店で見かけた際にはよろしくお願いします！

現在書店などで発売中の2022年の手帳はハトのポーチタイプと新ペイズリー柄、インコの柄になっています。マットが新しくシリーズに加わり、質感がまた上品です。

誰かの気持ちが少しでも上がる、そんな手帳になっていたら嬉しく思います。

2021.11